VICの窓から

2022年4月

 雪囲いがとれて、陽のあたる場所から次々と咲きだした花々。梅も桜も満開でにぎやかな季節の始まり。

 トンネルを抜けると福島県 桃色に染まる春の景色が広がっている。

共同浴場

 福島県にある飯坂温泉は、秋保・鳴子と並ぶ「奥州三名湯」のひとつ。その名の通り、坂の多い温泉地としても知られる。地元の人々に親しまれてきた共同浴場は9ヶ所。すべて源泉掛け流し。地元の人以外にも、多くの人が訪れている。古い歴史を持つ飯坂温泉。芭蕉も立ち寄ったといわれているのが、鯖湖湯(さばこゆ)。源泉から出た湯は、外にある樽型の「湯沢分湯槽」に集められ、鯖湖湯へ送られているそうだ。かなり熱めの湯 「熱いでしょ」と、地元の方が加水してくれたり、ありがたい。それぞれ違いがある共同浴場 きっとお気に入りが見つかる。心も体もあったまる温泉なのです。

 標高750mにある高湯温泉は、山形の蔵王・白布高湯と共に「奥州三高湯」の一つ。江戸時代開湯以来、
地盤の高低差を利用した給湯方法を変えないで守り続けているという。湯守が引湯樋や分湯箱などの管理を行い、天候などにあわせて、温度調節をしているそうだ。湧き出た無色透明の湯は、空気に触れることで白く濁るという。開放感のある半露天風呂の共同浴場では、自然と温泉の効能をたっぷり感じる事ができる。

 

堺田駅

 宮城と山形の県境近くにある堺田駅。防雪林が並ぶ駅は、道路より低い場所に建っている。宮城県小牛田から奥羽山脈を越えて、
山形県新庄に至る陸羽東線の線路が貫いている。鳴子温泉郷・赤倉・瀬見温泉など「奥の細道・湯けむりライン」としても親しまれている。

 駅前広場に分水嶺がある。東側(太平洋側)は、江合川、旧北上川を経て石巻市の太平洋へ。西側(日本海側)は、小国川、最上川を経て酒田市の日本海へ注ぐ。小国川に沿って最上町に赤倉温泉がある。開湯伝説に馬との関わりがみえる。かつて、最上町は小国郷という地名で「小国駒(おぐにごま)」と呼ばれた名馬を産する県内随一の馬産地であった。

旧有路家住宅(封人の家)

 代々この村の庄屋を務めていた旧有路家住宅が解体復元されている。村役場や街道筋の旅宿などの役割を担った国境の庄屋家屋にふさわしい茅葺き屋根の大きな建物。土間に馬小屋がある。人の住居の中で馬も一緒に生活をし、馬の健康無事成長を祈り、いつも安全を見守りながら大切に育ててきたのだ。ここに滞在した松尾芭蕉が詠んだ句「蚤風馬の尿する枕もと」は、軍馬産地のこのような背景を土地柄として詠んだものだろう。

 なんどには資料が並び生活文化を知ることができる。昔から多くの生活用品が藁で作られてきた。
注連縄のように不思議な力を持つものとしても使われてきた。生活の変化は、継承されてきた文化にも影響し、
今では見られなくなったものも少なくない。

しんとろの湯

 宮城県側、鳴子温泉郷中山平温泉。ここにも義経伝説が残る。共同湯しんとろの湯は、93℃の熱い源泉が長い木樋を通り自然冷却で浴槽へ。
アルカリ性(pH9.3)のぬるぬるとろりとしたお湯は格別。

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