VICの窓から

2025年11月

津波伝承館

 陸前高田市にある高田松原津波復興祈念公園は、震災遺構をあえて包み込むように設計されたそうだ。公園の中心にある国営追悼・祈念施設から海の方向に「祈りの軸」のラインを進むと、防潮堤の上に「海を望む場」が設けられている。

 館内には、被災した消防車両や被災の記録などが展示されている。東日本大震災津波の事実と教訓を共有し知見を深め、後世に伝えていくことは、自然災害に強い社会を作ることにつながる。

 失われた風景の映像の中に、上閉伊郡大槌町の様子がある。壊滅状態になった町は、復興に向けて自然・資源を活用した町づくりを進めてきた。地元に伝わる祭りは人々の結束を強め希望となって復興への大きな役割を果たしている。

大槌町

 岩手県上閉伊郡大槌町 町の奥の北上山地は、海岸線まで伸びている。豊富な山林・鉱物資源を利用して、古くから鉄の生産が行われていた。平安時代の鍛冶工房跡が見つかっている。
大槌湾には「ひょっこりひょうたん島」のモデルの一つとされる蓬莱島(ほうらいじま)がある。島には豊漁と海の安全を願う弁財天がまつられ、東日本大震災の津波で損壊した赤い灯台も復興への思いがこめられ再建された。島は陸地と防波堤でつながっている。

 大槌湾の北側の船越湾には浪板海岸があり、片寄せ波(寄せる波があっても返す波がみえない)で知られる。南岸に吉里吉里漁港がある。江戸時代の豪商前川(吉里吉里)善兵衛の本店があった。

-VICの窓から