VICの窓から

2021年9月

飛行機雲

 秋の空はキャンパスのよう。刻々と変化する雲。
たくさんの飛行機雲が残っている。
湿度が高く風の無い時に見られ、天気の予想は、明日は雨になるかも。
気が付けば、大音量で鳴いていたセミに代わって、秋の虫の鳴く声が聞こえている。
一日の寒暖差が大きくなり、日暮れも早くなった。

実りの季節

 黄金色の稲穂がまぶしい。稲刈りが始まった。ソバの白い花が一面に。絨毯のように広がる。

 山地の沢沿いの斜面などで多く見かける大きなトチノキ。花をつけるまで30~40年ほどかかるといわれるトチノキが山里の民家に立っている。大きな音をたてて実が地面に落ちてくる。3つに裂けた中から光沢のある栗に似た大きな実が出てくる。
手間のかかる渋抜き作業を経てようやく食べられる。トチの実は縄文時代から利用されてきた。
米沢藩の備荒食物の手引書「かてもの」にも工程が記されている。正月など「ハレ」の日にトチ餅を食べる地方もあるそうだ。
昔から人々の暮らしに深く関わりを持ってきた木。
絵本「モチモチの木」はトチノキだったと、懐かしい切り絵と共に思い出す。

 動けない植物たちの実には生き残るための様々な知恵が隠されている。
花の終わったオオウバユリには種がつまった濃い緑色の実がついている。
握り拳のように見えるコブシの実も色づき、中の赤い種が見えてくる。
山に自生している紫栗(山栗)は栽培されている栗より小さい。拾い集めるのも皮をむくのも大変そうだ。
小さいけれど、栗本来の甘みがあり、美味いという。栗材も腐りにくく縄文時代から建材などに利用されてきた。

ヌルデ

 ウルシの仲間、ヌルデだろうか。紅葉にはまだ早いようだ。夏 白い花を咲かせ、早速結実した雌の木には赤紫色の小さな実がぎっしりとついている。空に向かって風にゆれる果実もやがて垂れ下がって完熟すると白い粉がつく。それは塩の代用にされたという。
葉にできる虫こぶは「五倍子」(ごばいし)と呼ばれ、タンニンを含み昔から薬用やお歯黒、染料に使われてきた。
また、護摩木にもヌルデが使われたそうだ。色々利用されている事に改めて気づく。

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